19. 閉塞性動脈硬化症による重症下肢虚血
動脈硬化が原因で下肢に血液を供給する動脈が狭くなったり詰まったりし、下肢の血流が悪くなるものを閉塞性動脈硬化症といいます。
軽症であれば歩いたとき、足の運動をしたときにだけ痛みやだるさが生じ、安静にしていれば消失、改善するのが典型的ですが、重症化すると安静時でも痛みが生じたり、しびれ、冷感、潰瘍、壊疽をきたすことがあり、このようなものを伴う閉塞性動脈硬化症を重症下肢虚血といいます。
診断は専門医による状態の評価、血流評価の検査、画像診断などを組み合わせておこないます。
治療の第一は速やかに血の流れを取り戻すことであり、カテーテル治療とバイパス手術が挙げられます。切断せざるを得ない場合にならないためにも早期の治療が必要となってきます。
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20. パーキンソン病における鍼灸治療
パーキンソン病は振戦(不随意,意図せずふるえる),動作緩慢,筋強剛(筋固縮),姿勢保持障害,無動を主とする変性疾患であり、運動症状のみならず、抑うつ,自律神経症状,睡眠障害など様々な症状を呈します。
また、有病率は高齢化社会において増加傾向にあります。
2007年の時点で1割の患者さんが鍼灸治療を受けているとの報告があり、米国,韓国,中国では発表論文数の割合が著しく、その他諸外国との共同研究も多くおこなわれています。
そのことから、現在では上記1割以上のパーキンソン病患者さんが鍼灸治療を選択している可能性が高いとされています。
鍼灸治療ではセロトニン、ドパミンなどの神経伝達物質が増加することが報告されており、
また、自律神経や免疫に不調をきたすパーキンソン病患者さんと鍼灸治療は高い親和性をもつ可能性があります(体性-自律神経反射、NK細胞活性やサイトカイン産生による)。
そして、鍼灸治療は鎮痛作用を有し、また、筋肉の緊張緩和に効果的であることから、パーキンソン病の中核症状である運動器症状の改善が期待できます。
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